単語の暗記って苦手な人多いですよね。
「どうして覚えられないんだろう」
何度も繰り返し暗記しているのに、どうしても覚えられなくて嫌になった経験もあると思います。
私も記憶力がとても弱いので、気持ちはよくわかります。
「一度見ただけで、すぐに覚えることができたらどんなにいいだろう」
と、ドラえもんの「暗記パン」を思い浮かべてしまうのは私だけではないはず!
しかし、ここで諦めてしまうのはまだ早いんです。
最近では、脳の研究が著しく進んでいて、記憶力に対する脳の特性もわかってきています。
よって、脳を理解することによって、今よりも楽に単語を覚えることができるようになるんです。
今回は、脳の特性を活かした完全単語暗記法について書いていきます。
もくじ
脳は老化しないことが判明
当たり前ですが、人間は歳を取ると老化しますよね。
身体も臓器も衰えてきますし、特に脳に関しては、どんどん老化すると考えられてきました。
しかし、脳研究で有名な、東京大学薬学部教授の池谷裕二先生によると、脳の寿命は120年くらいであり、老化をしない大変強い臓器であることがわかったそうです。

そうなんです。うれしい発見ですよね。
その根拠は、115歳で亡くなられた女性の脳を解剖した結果、脳の機能がほとんど老化していないことが発見されたからなんです。
ヨガの発祥地であるインドでは、肉体の寿命は120年であると言われていますので、人は肉体が尽きるまで、脳の機能は低下しないようになっているということが証明されたんです。
でも、大人になってから、老化によって記憶力が低下したと思う方も多いですよね。

でも、実際はそうではなく、感覚がそう思わせてしまっているんです。
その理由は、研究結果からも明らかになっています。
2009年に行われた実験で、ど忘れの頻度を測ってみたところ、大人から子供まで一定だったという報告がありました。
よって、大人になってからど忘れが激しくなったというのは、思い込みということになります。
それでは、なぜ大人は記憶力が低下したと思ってしまうのでしょうか。
その理由は、大人になると、忘れることを深刻に悩んでしまうことが原因にあります。
老化が原因だと思っているので、悲観してしまい、子供のときよりも記憶力が低下していると思ってしまうんです。
しかし、実際は子供も大人も、変わらないくらい物事を忘れてしまいます。
でも、子供は思い出せなくてもあまり気にしない傾向があるということです。
また、時間の感覚も違います。
大人になってからの1年は、あっという間に過ぎ去っていく感覚がありますが、子供のころの1年はとても長く感じませんでしたか。
このことから、子どもにとって、半年前の記憶が遠い昔であるのに対して、大人にとっては、半年前の記憶が最近だと感じてしまいます。
よって、大人になると、最近のことなのに忘れてしまったとショックを受けてしまうんです。

さらに、人の名前が思い出せないと悩むのは、大人になってからです。
この理由は、環境の違いが大きく影響しています。
大人になると、知人の数が圧倒的に増えますよね。
学校の友達にプラスして、会社の同僚や上司、顧客など、どんどん増えていきます。
よって、その中から思い出すことは時間がかかり、思い出すことが困難になってくるというわけです。
このように、脳は老化していないのに、感覚や環境の違いによって昔に比べて記憶力が劣化したと感じてしまうのです。
参考文献:「覚えられない」は年齢のせいじゃない!記憶力の真実
脳の特性を理解する
脳は老化しないという、嬉しいニュースを聞いたので、ここからは、脳の特性を理解していきましょう。
脳の特性1:ふるいにかける機能がある
脳は、必要な情報と必要でない情報をふるいにかける機能があります。
なぜかというと、すべて見たもの聞いたものを脳に入れてしまうと、脳はキャパシティオーバーでパンクしてしまいます。
よって、優先度が高いものや大切だと思ったものしか、記憶されない仕組みになっているんです。
例えば、目に入ったものを全て覚えてしまったらどうなるでしょうか。

多量の情報が入ってしまうと、何が大切なものかわからなくなってしまうので、出すことも大変になってしまいます。
このように、脳は大切だと判断したものを記憶に留めるようになっています。
よって、この脳の特性を上手に利用することが大切なんです。
脳の特性2:生命維持に必要かどうか
脳には、情報をふるいにかける機能があるとわかりました。
では、そのふるいにかける判断基準はどのようなものなんでしょうか。
それは、その情報が生きていく上で必要か必要でないのか、が規準になります。
脳の海馬がその役割をしています。
海馬がふるいにかけ、必要であると判断されれば記憶されるという仕組みです。
例えば、動物は、食べ物を獲得することや、危険に晒されたときの対処法など、生きていく上で大切なことから覚えていきます。
このときの脳は、対象のものに集中していて、なおかつ興味も向かっています。
要するに、感情が動いているということです。
この、感情を動かすことが記憶をするためには必要で、感情を入れずに淡々と見たり読んだりしても、記憶に残りにくいんです。
また、脳は何度も出現された情報のことを、生きていくために必要なんだと判断する性質があります。
例えば、一度しか会わない人と、毎日顔を合わせている人とでは、脳にインプットされる回数が違いますよね。
回数が多ければ多いほど、脳は大切なことと判断して記憶します。
よって、脳に定着させるためには、
-
- 感情などを入れてインパクトを与える
- 何度も脳に出現させ
以上のことが必要になります。
脳の特性3:インプットよりもアウトプット
最後に、もうひとつの脳の特性をみていきましょう。
脳は、情報を入力するよりも出力を多くしたほうが、情報の定着率が高いことがわかっています。
2008年のハーバード大学で行われた実験です。
学生にスワヒリ語40個を覚えてもらい(復習)、その後テストを行いました。
全グループ、7回ほどの復習とテストで全問クリアしています。
そして、一週間後にまた同じテストを行いました。その結果は?
グループ① | グループ② | グループ③ | グループ④ | |
復習方法 | 全問 (入力:多) |
間違えた箇所 (入力:少) |
全問 (入力:多) |
間違えた箇所 (入力:少) |
テスト | 全問 (出力:多) |
全問 (出力:多) |
間違えた箇所 (出力:少) |
間違えた箇所 (出力:少) |
一週間後の テスト結果 |
80点 | 80点 | 30点 | 30点 |
上記の図のように、入力の多い少ないは関係なく、出力が多かったグループ①と②の学生の点数が高い結果になりました。
このように、今までは、どれだけ多くの情報を脳に入れるかが重要でした。
しかし、この結果から、入った情報をいかに出力させるかが重要であるということがわかったんです。
参考文献:「覚えられない」は年齢のせいじゃない!記憶力の真実
また、出力が大事ということは、ニコニコチャンネルで大活躍中のメンタリストDaiGoさんも言っています。
まとめ
以上、3つの特性をみてきました。
脳の特性がおわかりいただけたと思います。
まとめると、
脳の特性
- 脳は、情報をふるいにかけてしまう
- 脳は、生命維持に必要な情報を記憶する
- 脳は、アウトプット(使うこと)を重要視する
単語を覚えていく過程で一番良くないのは「自分は覚えられない」とがっかりして諦めてしまうこと。

脳は老化しないということ、そして脳の特性を理解していくことで、諦めずに単語を覚えることができるようになります。
実践!脳の特性を活かした単語暗記法
それでは、以上の脳の特性を活かした単語暗記法を解説していきます。
覚えられない単語を抜き出す作業
まず、覚えられないと感じた単語を抜き出す必要があります。
わざわざ抜き出す理由は、なるべく多くその単語を目に入れて出す練習をするため。
この、覚えられない単語の特徴ですが、数秒考えたら思い出す単語はこの中には入りません。
この程度の単語なら、TOEICのリスニングやリーディングの勉強で出てきたときに、思い出す練習をすれば、比較的簡単に覚えることができます。
そうではなくて、最後の最後まで覚えられなくて困ってしまう単語です。
例えば、私が使っているスタディサプリTOEICの単語勉強法で解説しますね。
このアプリには、復習トレーニング機能があります。
チェックが付いた単語や、間違った単語のみを復習できる機能です。
単語帳を使った覚えられない単語の洗い出し方法
単語帳を使った単語の洗い出し方法を解説します。
単語の勉強法も色々と種類がありますが、私が一番続いて効果があるなと思う方法は、1秒1単語覚えるやり方です。
用意する単語帳は、
- 左に英単語、右に日本語訳
- 例文は必要なし
- 1単語1訳
- 1ページ10個以上単語がある
このような単語帳を探してみてください。
1秒1単語暗記法
- 勉強する1ページ(単語10から15個)を開く
- 日本語訳を手か紙などで隠す
- 1秒で日本語を思い出す→思い出したら次の単語
- 思い出せなかったら5-10回音読→次の単語へ
- 全部1秒で思い出すまで繰り返す
- 最後までなかなか思い出せない単語の横に印をつける
- 次のページへ
この方法は、Youtubeで受験サポーターsinさんが紹介されていました。
また、web玉塾玉先生もこの方法を推奨しています。
もし、やり方が不明な場合は、上記のリンクでYoutubeを参考にしてください。
1日100単語やると決めたら、1週間同じ100単語を復習します。
1ページに10個あるなら、1日10ページを勉強することになります。
6.の、最後までなかなか思い出せない単語の横に印をつけていくと、1週間の最後の日にたくさんチェックが付いている単語が浮き彫りになります。
これが、なかなか覚えられない単語になります。
TOEICの問題から洗い出す
そして、アプリや単語帳よりもオススメの方法。
それは、TOEICの勉強をしている教材から覚えられない単語を洗い出すことです。
具体的な方法は、TOEICの問題を解いて答えあわせをしたとき、わからない単語があれば10回音読します。
そして3回目に解いた時、まだわからない単語があればそれにマークしておきます。
これが洗い出しです。
この方法は、初心者の方には一番オススメ。
なぜなら、TOEICの単語帳は、基本的な単語はすでに覚えている前提で作られているからです。
英語が苦手な人は、基本的な単語もまだ覚えていないことが多いですよね。
そのような単語を覚えていくためには、問題の中でわからない単語を洗い出す必要があります。
よって、TOEICの問題を解いたあと、3回目でも覚えていなかった単語にチェックを入れておきます。
スタディサプリを使った覚えられない単語の洗い出し方法
1.TEPPAN英単語の最初の画面右下にある「復習トレーニング」ボタンをクリック
2.「目標600点 1~400語」をクリック
3.「はじめる」をクリック
4.「不正解+チェック付問題を解く」をクリック
5. 復習を始めます。選択肢を見ないで、1秒以内で日本語が出てくるまで繰り返す。
※現在の機能では、選択肢を出さないように設定できます。
6. 終わると、間違ったものには✖️マークがついていますので、音読します。音読の方法は、「entirely 完全に、entirely 完全に、enteirely 完全に、enteirely 完全に、enteirely 完全に」と5回以上、英語と日本語訳を読みます。口に出すのが一番いいですが、声に出さずに口の中だけでも大丈夫です。
7. 次は、不正解のみを解くをクリックし、見ないで回答できるまで、繰り返します。
最終的には、不正解がなくなる状態まで行います。
しかし、この7.の繰り返しの復習方法を3-5回ほど行っても、どうしても日本語訳が出てこない単語が出てきます。これが洗い出しです。
洗い出した単語を書き出す
こうして、どうしても覚えられない単語が洗い出されましたので、これをノートに書き出します。
面倒くさいと思うかもしれませんが、自分専用の単語帳は勉強するモチベーションにもなるのでオススメです。
以下は、私が洗い出した単語です。
一行空けている理由は、ギッチリ詰めて書くと、あとで見るときに私はウンザリしてしまうからです。
空間があったほうが見やすいのでオススメですよ。
そして、ページの上に、日付(6日分・1日はお休み)を記入して、5マスのチェックボックスを書いておきます。
Googleで画像検索してみる
もし、時間に余裕があるなら、覚えられない単語を「Googleの画像」で検索してみましょう。
私がなかなか覚えられない単語、「delighted」で検索してみます。
delightedを入力してエンターキーを押すと、
delightedの検索結果が表示されるので、「画像」をクリック(画像ボタンがない場合は、検索するときに「delighted 画像」で検索してみてください)
delightedに関係する画像が表示されました。
特に、イメージがわかない単語や、文字だけで覚えているなと感じた単語、感情移入できない単語に関しては、一度画像検索してみることをオススメします。
また、画像検索して気になったりしたことは、先ほどのノートにメモを入れておくのもいいと思います。
毎日5回はテストをする
準備ができたら、毎日5回はテストをするようにします。

はい。やはり、多ければ多いほど効果があります。
そして、朝、昼、15時、帰りの電車、寝る前など、時間をあけたほうが効果的。
このときも出力が大事なので、1秒1単語の法則で勉強しましょう。
1秒1単語暗記法
- 勉強する1ページ(単語10から15個)を開く
- 日本語訳を手か紙などで隠す
- 1秒で日本語を思い出す→思い出したら次の単語
- 思い出せなかったら5-10回音読→次の単語へ
- 全部1秒で思い出すまで繰り返す
- 最後までなかなか思い出せない単語の横に印をつける
- 次のページへ
音読の方法は、「delighted うれしい、delighted うれしい、delighted うれしい」のように、「英語 日本語」で、3回から5回以上行います。
また、イメージできるものは脳に浮かべて音読をして、感情を入れるようにします。
以上の方法で、毎日5回を1週間行えば、どんな単語も必ず覚えられます。
- 出力をすること
- 感情を入れること
- 何度も脳に出現させること
上記のような脳の特性をフルに活用するように勉強すれば、苦手な単語も必ず克服できます。
復習回数や、音読の回数などは、自分のペースによって変えていくことも大切です。
「これだけやれば、そりゃ覚えられるでしょ」
って思った方も多いと思いますが、結局これだけやらなきゃダメなんです。
簡単な方法なんてないと諦めてください!←これ、すごく大事です。
まとめ
以上、どうしても覚えられない単語の覚え方について解説してきました。
私は、本当に単語が覚えられなくて苦しい思いをしてきました。
自分をよく責めていたことを覚えています。
簡単な単語も覚えられず、自分がうつ病になったときに、脳がやられてしまったんだと嘆いたこともあります。
しかし、この脳の特性を知ったとき、人より時間は掛かるかもしれないけど、私でも覚えられるかもしれないと思えたんです。
そして、その結果、諦めていたどうしても覚えられない単語も覚えられるようになりました。
すると、リーディングが少しずつ楽になってきたんです。
脳は衰えない臓器です。
記憶力が悪いと思っている方も、ぜひ試してみてください。
そして、続けられるように自分のやり方を見つけていってください。
諦めずに続けていけば、必ず覚えられますよ!